中也の帽子  フジ

トタンがセンベイ食べて
春の日の夕暮は穏かです
アンダースローされた灰が蒼ざめて
春の日の夕暮は静かです

吁《ああ》! 案山子《かかし》はないか――あるまい
馬嘶《いなな》くか――嘶きもしまい
ただただ月の光のヌメランとするまゝに
従順なのは 春の日の夕暮か

ポトホトと野の中に伽藍《がらん》は紅く
荷馬車の車輪 油を失ひ
私が歴史的現在に物を云へば
嘲《あざけ》る嘲る 空と山とが

瓦が一枚 はぐれました
これから春の日の夕暮は
無言ながら 前進します
自《み》らの 静脈管の中へです


中原中也の詩集「山羊の歌」の巻頭の詩「春の日の夕暮」ですが う~~ん シュールというか(ダダイズムの影響をうけているそうですが)意味不明的。でも感覚的にはつたわってきますね。春の夕暮れの静謐さが。

昼食の予約時間より一時間早く山口に着いたので中原中也記念館をのぞいてみました。
先月の29日に誕生祭と「中原中也賞」の受賞式が催されたばかりなのに、また連休初日だというのに館内はひっそりとして見学者は私をふくめて5人ぐらいでした。

常設テーマ展示は中也のはじめての詩集「山羊の歌」の刊行にいたるまでの過程を紹介しています。

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記念館の建物の設計は公開競技によって選ばれた宮崎浩氏の作品 
コンクリートの平べったいお椀のような屋根は中也がよくかぶっていた帽子をイメージしたも
のと中庭を掃除していらしたボランティア観光ガイドのおじさんが教えてくださいました。
そういわれると そう見えてきました。

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中也記念館の近くの高田公園に中也の詩碑があります。
私の好きな中也の詩のひとつ「帰郷」の1節です。
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柱も庭も乾いてゐる
今日は好い天気だ
縁の下では蜘蛛の巣が
心細さうに揺れてゐる

山では枯木も息を吐く
あゝ今日は好い天気だ
路傍の草影が
あどけない愁みをする

これが私の故里だ
さやかに風も吹いてゐる
心置なく泣かれよと
年増婦の低い声もする
あゝ おまへはなにをして来たのだと……
吹き来る風が私に云ふ


中也の詩には関心のないおじぎちゃん
公園の藤棚の白い藤の匂いは気に入ったみたいです。

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Commented by もっちゃん at 2010-05-03 20:44 x
宮崎浩、槙文彦の弟子。U高同窓生のN君(芝浦工大教授)と同じ事務所でした。
Commented by nm-sak at 2010-05-04 20:08
久しぶりにブログを更新した。
Commented by M at 2010-05-07 01:52 x
>もっちゃん 仁保の道の駅も宮崎浩さんの設計だと中也記念館のおじさんが教えてくれました。槙文彦ってヒルサイドテラスの設計をした建築家でしょう?宮崎さんの建物やはり弟子だけあってなんかにてるね。
Commented by もっちゃんパパ at 2010-05-07 17:45 x
 そうです。代官山のヒルサイドテラスは槙文彦の代表作です。
 宮崎さんもさんかしているのでは。
by machiko11m | 2010-05-03 01:07 | Comments(4)