巨星墜つ オオヤマレンゲ

音楽評論家の吉田秀和さんがお亡くなりになりました。


吉田秀和全集 全24巻発刊に 天野祐吉がよせた文です。


いい言葉は遠くまで届く  天野祐吉

 いい言葉は遠くまで届く。当時、クラシック音楽には無縁だったぼくにも、吉田さんの言葉はちゃんと届いた。

 あれは、60年代のはじめだったと思う。ある晩、友人の家で、カザルスの弾くバッハのLPを聴いて、急にぼくもクラシック音楽を聴く気になった。で、そのとき、神田の書店で買った本が、吉田さんの『私の音楽室』(名曲三〇〇選)である。

 LPレコードは高いから、慎重に選ばなければならない。「名曲三〇〇選」はそのためのガイドブックとして買ったのだが、どっこい、中身はとてもそんなものではなかった。なにしろ、選び抜かれた300曲の第1曲目は、人類が生まれる前から虚空に鳴っていたと思われる「宇宙の音楽」である。で、「レコードなし」である。

 吉田さんのことを知らなかったぼくは、びっくりした。が、伊達や酔狂でそんなことをしているんじゃないことは、少し読み進むうちにわかってきた。著者がこの本で書こうとしているのは、名曲の紹介や解説ではない。名曲案内という形式を借りて、著者の考えている音楽の歴史を、さらには“音楽”という宇宙を書こうとしているのだ……。

 エピローグで、吉田さんは言う。
 「……私は、三〇〇曲の音楽をえらんだけれど、そのほかに、鳥の声や風や波の音は、絶対に欠けてはならないものだ。また、大都市の夜や明け方のさまざまのものの響きも、もしなくなってしまったら、私は、ひどくものたりなく思うだろう。音楽は、やはり、そうしたものの中に、つつまれながら、しかし、それ自体で完結した建物として、あるべきものだ」

あのとき、こういう言葉に出会っていて、ぼくはほんとうにしあわせだったと思う。この本だけではない。吉田さんの著作には、音楽という建物を突き抜けてぼくらに届いている言葉が、いつもぜいたくにあふれている。


先日の声楽家フィッシャー=ディースカウ氏につづいて吉田秀和氏の逝去 巨星墜つとはこのことでしょうか


お名前のように今は天の星となられているこの方も地区茶道会の星でした。

星志津子先生を偲ぶ会  5月27日 光 掬星庵にて

お薄席のお花は
オオヤマレンゲ
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Commented by Mario at 2012-05-29 12:49 x
28日の朝刊を見たときに、声にならない声を漏らしてしまいました。故人のご冥福を心よりお祈りいたします。
音楽に対して終生真摯な態度を貫かれた吉田氏、今頃は氏が好まれたモーツァルトと、音楽談義を楽しんでいらっしゃるのではないでしょうか・・・。
Commented by machiko11m at 2012-05-30 23:44
>Mario様 
去年から今年にかけて スティーブン・ジョブズ氏 吉本隆明氏 フィッシャー・ディースカウ氏 吉田秀和氏と
次々にIT界 文学界 音楽界の 大きな星であった方々が逝かれています。
柳宗悦(三次奥田元宋・小由女美術館で柳宗悦展開催中)の長男の 柳宗理氏も去年天上の人になられています。

巨星墜つも 
彼らが遺した輝きは決して消えることはないでしょう。
心からご冥福を祈りたいとおもいます。
by machiko11m | 2012-05-29 00:21 | モチーフは花 | Comments(2)

ガーデニング 里山歩き フラワーアレンジメントなど花に囲まれて過ごす日々の記録です。  


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