2011年 03月 21日
逸見庸「置きざりにされた記憶」 サンシュユ |
3月21日の日本経済新聞朝刊文化面 逸見庸「置きざりにされた記憶ーー廃墟からの歌声」
深い悲しみと慟哭の一文です。
「置きざりにされた記憶」辺見庸 (しばさんのブログより引用させていただきました )
と、海がもりもりともりあがり、全身をおもいきり広げて陸へとむかい、息つぐまもなく、南浜町がCG映像みたいに怒とうの下になってきえた。
わたしの家があったあたりはみつけるまえに海になっていた。
あーっと叫ぼうとしたのだが、喉がつまって声がでない。(略)
泣こうとしたが、栓がつまったようにやはり声がでない。
身もだえしたら栓がぬけて、からだのいちばん奥底から、声というよりからだの音が、ウォーッと口からふきでてきた。
泣いたのではない。
喉より上でさめざめと泣くのではなく、悲しみと苦しみを臓腑ごとたばねて音にしたこれは「哭」の声だ。
海なりの底に無数の哭の声がしずんだ。
記憶が津波にさらわれそうになった。
いや、若い日の記憶のあかしがごそっとさらわれて、記憶そのものはひとりとりのこされたのだった。
そうなると、ひとは悲しみをひきとる器がなくなって狂おしくなる
中原中也賞の賞金を全額 出身地石巻市に寄付されるそうです。
(なぜか)ためらっていた 彼の詩集 読んでみようとおもいます。
サンシュユ(山茱萸) 早春、葉に先立って小さい黄色い花をたくさんかためて枝につけるので ハルコガネバナともよばれます。 秋の赤い実も可愛い アキサンゴの別名もあり。
深い悲しみと慟哭の一文です。
「置きざりにされた記憶」辺見庸 (しばさんのブログより引用させていただきました )
と、海がもりもりともりあがり、全身をおもいきり広げて陸へとむかい、息つぐまもなく、南浜町がCG映像みたいに怒とうの下になってきえた。
わたしの家があったあたりはみつけるまえに海になっていた。
あーっと叫ぼうとしたのだが、喉がつまって声がでない。(略)
泣こうとしたが、栓がつまったようにやはり声がでない。
身もだえしたら栓がぬけて、からだのいちばん奥底から、声というよりからだの音が、ウォーッと口からふきでてきた。
泣いたのではない。
喉より上でさめざめと泣くのではなく、悲しみと苦しみを臓腑ごとたばねて音にしたこれは「哭」の声だ。
海なりの底に無数の哭の声がしずんだ。
記憶が津波にさらわれそうになった。
いや、若い日の記憶のあかしがごそっとさらわれて、記憶そのものはひとりとりのこされたのだった。
そうなると、ひとは悲しみをひきとる器がなくなって狂おしくなる
中原中也賞の賞金を全額 出身地石巻市に寄付されるそうです。
(なぜか)ためらっていた 彼の詩集 読んでみようとおもいます。
サンシュユ(山茱萸) 早春、葉に先立って小さい黄色い花をたくさんかためて枝につけるので ハルコガネバナともよばれます。 秋の赤い実も可愛い アキサンゴの別名もあり。
by machiko11m
| 2011-03-21 22:56
|
Comments(10)
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olive
at 2011-03-23 12:25
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言葉に尽くせない心の痛み、それを緩やかに癒すのは時間と人の愛ではないかと思います。時に人が人を傷つけ
他方では人が人を慈しみ、癒し、知恵を授ける。
すべての物に陰と陽が一体となっていると思います。
極限状態に自分の闇がが見えることも。
かつての義父母の看護を通して自分自身を「こんなものか」と滅入ったことが思い出されます。
刺さった棘の痛みもいつもまにやら忘却の彼方に。
少しずつ、老いを感じながら、「今、何をする?何を喜びとする?」を確かめています。
春を告げる花木の中でも、さんしゅゆ、桜が好きです。
素朴で力強い幹に黄色の小花が群れて好きです。
我が家に葉桜になりそうな東海桜がいけたままです。
枯れ行く花と芽吹く幼葉が一体です。これも陰陽一体。
そうそう、19日甥に男の子が産まれました。
嬉しいニュースでした。
他方では人が人を慈しみ、癒し、知恵を授ける。
すべての物に陰と陽が一体となっていると思います。
極限状態に自分の闇がが見えることも。
かつての義父母の看護を通して自分自身を「こんなものか」と滅入ったことが思い出されます。
刺さった棘の痛みもいつもまにやら忘却の彼方に。
少しずつ、老いを感じながら、「今、何をする?何を喜びとする?」を確かめています。
春を告げる花木の中でも、さんしゅゆ、桜が好きです。
素朴で力強い幹に黄色の小花が群れて好きです。
我が家に葉桜になりそうな東海桜がいけたままです。
枯れ行く花と芽吹く幼葉が一体です。これも陰陽一体。
そうそう、19日甥に男の子が産まれました。
嬉しいニュースでした。
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machiko11m at 2011-03-23 22:10
>olive様 甥御様のお子様の誕生 おめでとうございます。ご面会されましたか?
赤ちゃんの肌はむきたての水蜜桃のよう ツルツルスベスベと一点の陰りもみえません。
誕生した新しい命が育つ未来の光が明るく輝かしいものであること祈っています。
自然が人間にもたらした大きな痛みはまた自然によって癒されるのではと信じています。
赤ちゃんの肌はむきたての水蜜桃のよう ツルツルスベスベと一点の陰りもみえません。
誕生した新しい命が育つ未来の光が明るく輝かしいものであること祈っています。
自然が人間にもたらした大きな痛みはまた自然によって癒されるのではと信じています。
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olive
at 2011-03-24 13:07
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残念ながらまだ面会はできていませんが、写メで見ました。燃料不足のせいか病院側の都合で4日で退院しました。市内の実家で母子共々元気に賑やかに過しています。優しくてちょっと臆病な甥がしっかり者のお嫁さんを得て2児のパパになりました。
お祝いいただきありがとうございました。
お祝いいただきありがとうございました。
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tuxedo-cat at 2011-03-25 01:59
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どら猫
at 2011-03-25 07:31
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自然は痛めもするが癒しもするか。時間も同様ですね。
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サギソウ
at 2011-03-25 22:29
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なんだか難しいいですね、難しいコメントは書けない。
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machiko11m at 2011-03-26 02:19
> tuxedo-cat様 去年中原中也賞を受賞した文月悠光が
今回の震災で
「詩が何の役に立つのか」
「詩が何を救えるのか」
抱いていた不安や疑念が
福島在住の詩人、和合亮一さんのツイッターから送られてくる詩(被災地の悲痛な現実を真っ向からつづられている)に触れ 詩の力強さ、言葉の力 を教えられ、
“「詩が何の役に立つのか」
くさくさ考えていた自分が、ひどく恥ずかしくなりました。
ただ書き続けるしかないのだ、と。“
決意したとありました。
「花の力」とともに「言葉の力」も また人を癒し力付けるけるものでしょう。
今回の震災で
「詩が何の役に立つのか」
「詩が何を救えるのか」
抱いていた不安や疑念が
福島在住の詩人、和合亮一さんのツイッターから送られてくる詩(被災地の悲痛な現実を真っ向からつづられている)に触れ 詩の力強さ、言葉の力 を教えられ、
“「詩が何の役に立つのか」
くさくさ考えていた自分が、ひどく恥ずかしくなりました。
ただ書き続けるしかないのだ、と。“
決意したとありました。
「花の力」とともに「言葉の力」も また人を癒し力付けるけるものでしょう。
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machiko11m at 2011-03-26 02:26
>サギソウ様 コメントありがとうございました。こうしてブログを見てくださっただけで感謝です。
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machiko11m at 2011-03-26 02:30
>どら猫様 そうですね。時間は一番の癒しかもしれませんが、また 時が経つにつれて深くなる悲しみというのもあります。
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どら猫
at 2011-03-26 07:37
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人生が何の役に立つのかと くさくさ考えていた自分が恥ずかしくなる。ただ生き続けるしかない。